高齢化をサポートする助成金
1.継続雇用制度導入助成金
継続雇用制度導入助成金は高年齢者の雇用の確保を図るため、定年の引上げ、定年到達者の再雇用等により、61歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度を導入する場合に利用できます。
支給対象となる事業主
継続奨励金は、常用被保険者の数が10人以上である次の全てを満たした事業主に対して支給されます。
- 雇用保険の適用事業主であること。
- 労働協約又は就業規則により定年が定められていること。
- 次のアからオまでのいずれにも該当する雇用の延長制度を設けた事業主であること。
- ア:継続雇用制度により、労働者が常用労働者として雇用されること
- イ:継続雇用制度が次の一つ以上に該当するものであって、労働協約の改訂もしくは締結、又は就業規則の変更若しくは作成により設けられたものであること。定年を61歳以上に引上げ従前の定年年齢をを超える労働者を引上げ後の定年まで雇用する制度。
- 定年(60歳以上)に達した者であって継続して雇用されることを希望する者を引続き61歳以上の年齢まで雇用する制度(勤務延長制度)
- 定年に達した者であって継続して雇用されることを希望する者を、定年により退職した日の翌日から起算して7日以内の間に再び雇入れ61歳以上の年齢まで雇用する制度(再雇用制度)
- 定年に達した者であって継続して雇用されることを希望する者について次の条件を満たした出向をさせ出向させた先の事業主に補助を行なう制度。
- A:定年に達したことにより退職し、または退職することとなっていた日の翌日から起算して7日以内の間に次のいずれかに該当する事業主の事業所(雇用保険の適用事業所に限る)に出向させ、かつ、出向先で61歳以上の年齢まで勤務することとなるものであること。
1)資本金の全部又は大部分が出向元事業所の事業主の出資であること。
2)出向元事業所の事業主との経済的、組織的な関連性が緊密であること。 - B:次に掲げる事項において、あらかじめ出向元の事業主と当該事業所の労働者の過半数で組織する労働組合との間で(ない場合は過半数を代表する者)との書面による協定がなされその協定に定めるところによって行なわれるものであること。
1) 出向事業所の名称、所在地、及び事業の種類並びに事業主の氏名(法人の場合はその名称及び代表者の氏名)
2) 出向開始日及び出向期間
3) 出向に係る者の範囲
4) 出向期間中の処遇、雇用関係、賃金その他の労働条件 - C:当該出向について、当該社の同意を得て行なわれるものであること。
- D:次に掲げる次項について、出向元事業所の事業主と出向先事業所の事業主との間であらかじめ締結された文書による契約に定めることにより実施されるものであること。
1)出向元事業所及び出向先事業所の名称及び所在地
2)出向開始日及び出向期間
3)出向に係る者の範囲
4)向期間中の処遇、雇用関係、賃金その他の労働条件
5)出向先事業所の事業主に対する補助に関する事項、出向に係る者の賃金に係る補助の額等
6)出向先事業所の高年齢労働者の雇用の安定に係る事項
- A:定年に達したことにより退職し、または退職することとなっていた日の翌日から起算して7日以内の間に次のいずれかに該当する事業主の事業所(雇用保険の適用事業所に限る)に出向させ、かつ、出向先で61歳以上の年齢まで勤務することとなるものであること。
- ウ:継続雇用制度が、平成 2年6月8日以後において設けられたものであって、定年が制定された日以後1年を経過した日以後に設けられたものであること。
- エ:過去において労働協約又は就業規則により設けられていた定年が、労働協約の改定もしくは締結、又は就業規則の変更もしくは作成により定年を引き下げられたことがある場合には、新たに設けられた継続雇用制度の定める退職年齢が過去において労働協約または就業規則により定められていた最高の定年を超えるものであること。
- オ:過去においてイに掲げた制度の 1つ以上が労働協約又は就業規則により設けられている場合には、新制度の定める退職年齢が過去における制度による最高の退職年齢を超えるものであること。
次のいずれにも該当する常用被保険者を、継続雇用制度を設けた日において常用労働者100人に1人(100人以下は1人)、以後100人増加するごとに1人を加えた数(1000人以上は10人を限度とする)を雇用していること。
- ア:継続雇用制度の設置の際、事業所の定年の適用を受けていること。
- イ:継続雇用制度を設けた日から3年以内にその制度の適用を受けて事業所の定年による退職予定日を超えて雇用されることが見込まれるかこと。
- ウ:雇用延長見込み労働者が継続雇用制度の適用を受ける日において、事業主に5年以上継続して雇用されていること。
受給できる額
継続奨励金の支給額は常用被保険者の数(企業規模)及びこの継続雇用制度によりその制度を設ける前の退職予定年齢( 60歳未満は60歳)を超えて継続雇用となる期間に応じて次のように定められる。
雇用年数
常用被保険者数 |
1年 |
2年 |
3年 |
4年 |
5年 |
---|---|---|---|---|---|
10人〜29人 | 80万円
|
160万円 |
240万円
|
320万円 |
400万円 |
30人〜99人 | 120万円
|
240万円
|
360万円
|
480万円
|
600万円
|
100人〜299人 | 160万円
|
320万円
|
480万円
|
640万円
|
800万円
|
300人以上 | 200万円 |
400万円 |
600万円 |
800万円 |
1000万円 |
2.特定求職者雇用開発
特定求職者雇用開発助成金は高齢者、障害者その他就職が特に困難な方を公共職業安定所の紹介により継続して雇用する労働者として雇入れた事業主に対して支給されるものです。
支給対象となる事業主
次のいずれにも配当している事業主に支給されます。
- 雇用保険の適用事業の事業主
- 次のいずれかに該当する求職者を公共職業安定所の紹介により、継続して雇用する労働者として雇入れ、且つ、その労働者を助成金の支給期間が終了して後も相当期間継続し
- ア:一般労働者として(短時間労働被保険者を除く)雇い入れた次のいずれかに該当する者
- 高齢者(雇入れ日現在55歳以上65歳未満)
- 身体障害者
- 精神薄弱者
- 精神障害回復者等
- 母子家庭の母等
- 中国残留邦人等永住帰国者
- 駐留軍関係離職者( 45歳以上)
- 炭坑離職者求職手帳所持者
- 沖縄失業者求職手帳所持者( 45歳以上)
- 漁業離職者求職手帳所持者
- 手帳所持者である漁業離職者( 45歳以上)
- 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者( 45歳以上)
- 港湾運輸業離職者( 45歳以上)
- 特定不況業種離職者求職手帳所持者( 45歳以上)
- 特定雇用機会増大促進地域離職者( 45歳以上)
- 緊急雇用安定地域離職者
- その他公共職業安定所長が著しく困難であると認める者( 45歳以上)
- イ:短時間労働被保険者として雇い入れられた次のいずれかに該当する者
- 高齢者のうち60歳以上の者
- 重度身体障害者
- 重度精神薄弱
- ウ:一般被保険者として雇い入れられた次のいずれかに該当する者
- 重度身体障害者
- 身体障害者のうち45歳以上の者
- 重度精神障害者
- ア:一般労働者として(短時間労働被保険者を除く)雇い入れた次のいずれかに該当する者
- 対象労働者の雇い入れの日の前日から起算して6ヶ月前から1年間にその事業所で雇用する被保険者(短時間労働被保険者、短期雇用特例被保険者、及び日雇労働被保険者を除く)を事業主の都合で解雇(勧奨退職も含む)したことが無い事業主
- 対象労働者について出勤状況、賃金の支払状況を明らかにする書類及びその事業所で雇用する常用労働者の労働者名簿を整備している事業主
注意事項
- 次のいずれかに該当する場合はこの助成金は支給されません。
- ア:過去において、助成金の支給を受けたことがある事業主がその支給の対象になった者を再び雇い入れた場合
- イ:事業主の都合で解雇した者及び定年達したこと等により退職させた者を再び雇い入れた場合
- ウ:公共職業安定所の紹介以前に、対象労働者を既に雇用または雇用の予約が有った場合。
- エ:対象労働者の出勤状況及び賃金の支払状況等を明らかにする書類が未整備又は不実の記載がされていた場合
- オ:この助成金の対象労働者の離職に関して違法行為が行われる等悪質と認められる行為が合った場合。または、助成金の支給対象期間中及び支給終了後間もない期間における対象労働者の離職率が著しく高く、且つこれに対する安定所長の実施改善指導にもかかわらず改善効果が認められず合理的理由もない場合。
- この助成金の受給中や支給期間が終了してから対象労働者を解雇した事業主に対しては、
支給された助成金の返還を求められることがある。 - 助成金の支給申請から支給決定までの間及び支給終了後において総勘定元帳等の帳簿の
提示を求められることがある。
受給できる額
受給できる額は、対象労働者を雇いいれた後、1年間(重度障害者は1年6ヶ月)に支払った賃金に助成率を乗じて得た額です。但し、この賃金には臨時に支払われた賃金及び3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金は含まれません。
対象労働者を雇入れ後、次のいずれかの理由により1年(重度障害者の場合は1年6ヶ月)を経過する前に対象労働者を雇用しなくなった場合の助成金の受給額は、対象労働者の離職日の属する支給対象期の初日から離職日までの期間について支払った賃金の額に上記表の助成率を乗じて得た額となります。
- 対象労働者の責めに帰すべき理由による解雇
- 対象労働者の都合による退職
- 対象労働者の死亡
- 天災その他やむを得ない理由により、事業の継続が不可能となったこと。
対象労働者ごとの助成率
対象労働者 | 助成率 |
受給期間 |
受給限度額 |
|
---|---|---|---|---|
大企業 |
中小企業 |
|||
高齢者・障害者 短時間労働被保険者 |
1/4 |
1/3 |
1年 |
3,198,000円 |
重度身体障害者 | 1/3 |
1/2 |
1年6ヶ月 |
4,797,000円 |
受給手続
この助成金を受給するには対象労働者を公共職業安定所から紹介を受ける必要が有るので、求人の手続をし、その後紹介を受けたら次の手続をします。
- 対象労働者の雇い入れの日(賃金締切日が定められている場合は雇い入れ直後の賃金締切日の翌日)から5ヵ月を経過した後、1ヵ月以内に「特定求職者雇用開発助成金受給資格申請書」及び「特定求職者雇用開発助成金第1期支給申請書」(最初の6ヵ月)および必要な添付資料を添えて所轄の安定所に提出します。
- 次の6ヵ月経過後に第2期、重度障害者の場合はさらにその次の6ヶ月後を第3期とする各期の経過後1ヵ月以内に第1期の支給決定通知書を添えて特定求職者雇用開発助成金支給申請書を提出する。
3.高齢者多数雇用奨励金
高年齢者の雇用を奨励するために、雇用する労働者のうち 60歳以上65歳未満の高年齢者が占める割合が一定率以上である事業主に対して支給される精度です。
支給対象となる事業主
高年齢者多数雇用奨励金を受給できる事業主は次のいずれにも該当する事業主です。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 労働協約又は就業規則により60歳以上の定年を定めている事業主又は定年を定めていない事業主であること
- 雇用保険の被保険者で雇用期間1年以上の60歳台前半層の高齢者を、6%以上雇用する事業主であること
- 次のいずれかに該当する事業主であること。
- 各年ごとに1月から 12月までの各月ごとの初日において1年以上雇用されている60歳以上65歳未満の被保険者(短時間労働被保険者、短期雇用特例被保険者、及び日雇労働被保険者を除く)の年間合計数(高年齢者雇用延数)が各月の初日における65歳未満の被保険者の数に100分の6を乗じて得た数の年間合計数(その数が36人を下回る時は36)を超える事業主であること。
- 各年毎に1月から 12月までの各月毎の初日において1年以上雇用されている60歳以上65歳未満の短時間労働被保険者の年間合計数が各月ごとの初日における65歳未満の被保険者の数に100分の6を乗じて得た数の年間合計数(その数が36人を下回る時は36)を超える事業主であること。
支給額
奨励金の額は次に掲げる区分に応じてそれぞれの定める額となります。
- 被保険者を対象とする支給額
- 高年齢者雇用延数が8%(上位基準数)を超える事業主は、次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
高年齢者雇用延数から上位基準を減じて得た数に中小企業事業主は4万円、中小企業事業主以外の事業主は3万円を乗じて得た額及び上位基準数から下位基準数を減じて減じて得た数に中小企業事業主は3万円、中小企業の事業主以外の事業主は2万円を乗じて得た額を合計した額。
- 高年齢者雇用延数が上位基準以下の事業主は、次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
高年齢者雇用延数から下位基準を減じて得た数に中小企業事業主は3万円、中小企業の事業主以外の事業主は2万円を乗じて得た額を合計した額。
- 高年齢者雇用延数が8%(上位基準数)を超える事業主は、次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
- 短時間労働被保険者を対象とする支給額
- 短時間労働高年齢者雇用延数が上位基準を超える事業主は、次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
短時間労働高年齢者雇用延数から上位基準を減じて得た数に中小企業事業主は2万円、中小企業の事業主以外の事業主は1万5千円を乗じて得た額及び上位基準から下位基準数を減じて得た額中小企業事業主は1万5千円、中小企業の事業主以外の事業主は1万円を乗じて得た額を合計した額
- 短時間労働高年齢者雇用延数が上位基準数以下の事業主は次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
短時間労働高年齢者雇用延数から下位基準を数を減じて得た数に中小企業事業主は1万5千円、中小企業事業主以外の事業主は1万円を乗じて得た
- 短時間労働高年齢者雇用延数が上位基準を超える事業主は、次に掲げる額の合計額に相当する額となります。
4.高齢期就業準備奨励金
高齢期就業準備奨励金は、高齢期の職業生活に向けた準備を行う 45歳以上65歳未満の中高年齢労働者に対し、有給休暇制度(10日以上)を創設した事業主に対し支給されるもので、中高齢者のニーズに応じた働き方を推進していくことを目的としています。
支給対象となる事業主
次の全てに該当する事業主であって、雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者を除く)の数が 10人以上である者に対して、制度を設けた日から起算して5年間に限り支給されます。
- 雇用保険の適用事業主であること
- 労働協約又は就業規則により、60歳以上の定年を定めているか又は定年を定めていない事業主であること。
- 当該事業主に継続して5年以上雇用されている45歳以上65歳未満の常用被保険者に対して、高齢期の職業生活に向けた準備を円滑に行わせるために、次のいずれにも該当する制度を労働協約または就業規則により設けた事業主であること。
- 対象被保険者の申し出により、連続した 10日以上の有給休暇を与えるものであること。
但し、準備制度の創設により準備制度以外の有給休暇( 45歳以上65歳未満の労働者のうち、特定の条件を満たす一部の者を対象に付与されるものを除く)の休暇の付与日数が減少するものでないこと。 - 当該休暇の期間について支払った賃金の額が、概ね当該期間において通常の業務についた場合に支払われる賃金の額以上であること。
- 準備制度を設けた時から1年以内に準備制度を利用する対象被保険者が1人以上生ずると見込まれるもの。
- 準備制度に基づく休暇を取得した対象被保険者に対し、休暇を取得させること理由として不利益を与えるものでないこと。
- 準備制度の運用に関する計画を作成し、所轄の公共職業安定所長の認定を受けた事業所であること。
- 対象被保険者に対して公共職業安定所長の認定を受けた運用計画に基づき準備制度を実施した事業主であること。
- 準備制度を設けた時から1年以内に当該準備制度を利用して休暇の取得を開始した対象被保険者が1人以上生じた事業主であること。
- 休暇の付与及び賃金の支払の状況等の準備制度の実施状況を明らかにする次の書類を整備している事業主であること。
- 対象被保険者の出勤状況及び休暇の付与の状況を明らかにする出勤簿等の書類
- 休暇の期間に支払われた賃金の額等を明らかにする賃金台帳等の書類。